アラン・グレさんとの出会い<第2章> の続きです。
グレさんに手紙を送って数日後に届いた、送信元 “ALAIN GREE” というメール。
「わ!ALAIN GREEさんからメールが来ている!でも、まさかあのアラングレさんじゃないよね?」
「でもALAIN GREEって確かに書いてある!」
興奮しすぎて頭の中がパニックになりました(笑)
もしお返事を頂けるとしても、手書きの手紙か電話がくるものだと思い込んでいたので(←失礼ですみません・・・)、メールでお返事を下さるなんてこれっぽっちも想像もしていませんでした。
この当時、ALAIN GREEという単語でさまざまな情報を調べていたので、その関連で誰かが送って来たかも知れない、とも思いました(←これも、ネットでここまで情報を抜き取られていたら怖すぎますが、それくらい “ありえないこと” だと思い込んでいたのです😅)
ALAIN GREE メールの送り主は?
半信半疑でそのメールを開くと・・・
そこには、確かにご本人からのメッセージと、写真(トップ画像)が添付されていました!!
船に乗ったグレさん、かっこいい!
1970年代の絵本に彼の写真が掲載されていたので昔の顔は見たことはありましたが、最近の様子を見るのは初めてです!
素敵なグレさんからのメッセージの内容は・・・
「心のこもった手紙をありがとう!君の素晴らしいコレクションの写真を見て、モニーク(奥様)と一緒に、30年前のことを懐かしく思ったよ。当時の思い出がたくさんよみがえってきて、すごく楽しい気分になった。ありがとう。なんと言っても、自分の作品を眺めるのなんて、30年振りだからね!
それに、今のタイミングで手紙をもらえてよかった。数年前まではセーリングに出ていることがほとんどで、家を留守にすることが多い生活をしてたからね。僕は運がいいね!
君が計画しているカレンダーのこと、とても興味があるよ。良かったら僕の家に遊びに来ないかい?一緒に話をしよう。」
わわわわわ!!!
まさかの私の憧れのグレさんのご自宅にお呼ばれ!?
結果オーライ!
この日のメッセージを読んだときの気持ち、『信じられない!』という思いばかりが先行する高揚感は、未だに忘れることができません。
今でもこうして当時のことを思い出しながら記事を書いていると、あの時の感覚がありありとよみがえって来ます。
グレさんが、絵本の仕事を終えた後は航海術の本を書き、現在はグラフィックデザイナーとして活躍していること、最新のマックを使いこなしながら、PhotoshopやQuarkXPressを使ったプロのグラフィックデザイナーとして超ハイテクな方面へと進まれたことも、この時に聞かせてもらいました。
そして当時のイラストに関しては、グレさんに権利が返却されているため、Casterman社は間に入る必要はないことも教えてもらったのです。Casterman社の方が連絡をしてこなかったことが、私たちにとってはとてもラッキーな結果になりました。
グレさん自身は、絵本の仕事から離れたあとは自分の昔の作品を見ることは一切なかったと言います。そのため、私が集めた絵本のコレクションの写真を見てとても感動されたのでした。
『今でも自分の昔の絵を愛してくれている人がいる』ということを初めて知ったのだそうです。
グレさんを敬愛、崇拝するアーティストやイラストレーターの方達は世界中にたくさんいました。ただ、誰もグレさんにコンタクトを取ることはしなかったため、彼自身もそういうことになっているとは知らなかったのです。
当時のアラン・グレ絵本は日本でも人気の高いビンテージ絵本でしたし、その世界では有名な方でした。そのことを伝えると、自分のイラストがいまだに人気だなんて信じられないよ、と非常に驚かれていたのです。
1番と2番の違いは比べ物にならないほど大きい
私は運良く、アラン・グレさんの当時の絵本に関して世界で一番最初にコンタクトを取った人物になることが出来ました。私がグレさんを訪れた後、2人の日本人が同じように訪れていますし、海外からもグレさんの元に直接連絡が行くようになりました。
でも、”1番目” と “2番目” の差って、とってもとってもとっても大きいんです!
はっきり言ってしまえば、2番目も5番目も10番目もほとんど変わりません。でも、1番目のインパクトって他とは比べ物にならないほど異なるものなのです。私の行動がもう少し遅かったら、「2番目以降のグループの中の一人」となっていたことでしょう。
『グレさんに、30年振りに自分のイラストを見てもらうきっかけを作ることが出来た。』
これは私の中で非常に大きな出来事でした。そして、この上なくありがたく、ラッキーなことでもあります。
今でもグレさんはこう言ってくださいます。「ノリコが一番最初にコンタクトを取ってくれた。そのお陰で、僕は自分の作品をもう一度見直し、再び命を吹き込んでみようと思うことが出来たんだ。だからとても感謝しているよ」と。
このお話を聞かせて頂く度に、涙が込み上げてきます。
『グレさんの絵を使って何かを作りたい!』という気持ちから始まり、『カレンダーにしよう!』というアイディアが浮かんでからすぐに行動を起こしたことが幸いしました。
こうして、今まで憧れの存在だったグレさんと、まずはメールで繋がることができたのです。